フランスの蛍石(フレンチアルプス除く)

フレンチアルプスのピンク蛍石を除くと、Le Beix鉱山、Le Burg鉱山、Haute-Loire地区(Marsangesなど)といった青色系統の蛍石がイメージしやすかもしれません。

しかし、Valzerguesの黄色い蛍石、La Barreの八面体の蛍石、Buxièresの球状に近いものど様々なタイプの物があり面白いです。(その分把握しづらいのですが)


Marsanges

Marsanges, Haute-Loire , France Fluorite

Marsanges, Langeac, Haute-Loire, Auvergne, France

48mm×30mm×21mm

 

氷のような蛍石。

同じフランスでもLe BeixやLa Barre, Puy-St.-Glumierなどに比べると薄い色ですが、その分かなり透明感があります。

 Marsangesはフランスの中でも最大の蛍石鉱山のひとつであり、良質な標本を産出したことで知られます。青い蛍石が有名な産地ですが、一部の標本では前述のフランス2大巨頭であるLe BeixやPuy-St.-Glumierにも匹敵するとも。そもそも、Haute-Loire一帯が青色の蛍石で有名なわけですが、Marsanges鉱山自体は1975年に閉山しています。

ただし、Langeac自体はまだまだ採掘をされている産地の様で、フランスの青い蛍石産地がほぼ閉山もしくはアクセスできなくなってしまっている現状では入手容易な産地と言えるでしょう。

この標本に限ってはこの産地の中ではごくごく平均的なレベルの物と思われます。

(10/30/2016 編)


Pratclaux Vein, Marsanges, Langeac, Haute-Loire, Auvergne, France

50mm×35mm×30mm

IMAGE2014にて購入

 

フランス・オートロワールのパステルグリーンな蛍石。

ちょうど色合いは、毒々しくないメロンソーダか綺麗なミントグリーンといったところか。

細かく六面体のステップとなっており、いわゆる”Mayan Pyramid”などに分類される風体。

透明感はわりとよく、標本の端は無色に見えているがこれは…。

フランスはピンクor青が取り沙汰されるが、こういった緑系統の物だって綺麗な物が揃うので懐が広い。

 

以前から目をつけてはいたのですが、今回も売れ残っているのを見て購入してみた次第で、よく見たら全く聞いたことのない鉱山という。

「この色合いでこの形、しかもHaute-Loire となるとMarsanges Mineの物にどう見ても似ているのだが…」

と、思い後ほどで調べてみたところ、Langecのかなり南の坑道でMarsangesへともつながっているところのことのようで。そりゃ知らない産地ですわ…

 

追記

先日のミネラルショーにてフランス人のディーラーと話していたらMarsangesには5だったか6このVeinがあるらしい。(記憶が曖昧ですみません。)

 


La Barre Mine

La Barre Mine (La Martinèche Mine), Saint-Jacques-d'Ambur, Pontgibaud, Puy-de-Dôme, Auvergne, France

Ex. J.-P. Boulay Collection  Collected in 1978 by himself.

25mm×23mm×20mm

 

フランス産の青い蛍石。

透き通った湖を想起させるような深い青。それと透明な部分による緻密なゾーニングが形成されています。

文句のつけようのない、フランスらしいクラシックなブルー蛍石の単結晶。

 

以前の持ち主が1978年に直接採集してきたものとかで、現在では採取禁止&この色合いは採れないのだとか。

とは言うものの、2015年以降もちょくちょくと現地のコレクターは採集しているようで、稀にこれほどの大きさの単結晶はあまり見ませんがそれでも綺麗な青い標本がフランスでは出回っているようです。

鉱物界の絶産は当てになるようでならないし、当てにならないようでなったり。

 

La Barre鉱山自体はおよそ1世紀前から30年間稼働していた鉱山です。

古くはとても青い蛍石が有名ですが、現在では水晶を伴った紫色の八面体をちょくちょく見かけます。

(2017/3/12 編)

 

La Barre Mine, Saint-Jacques-d'Ambur, Pontgibaud, Puy-de-Dôme, Auvergne, France

Collected in 2015 from the superior level

16mm×15mm×10mm

 

La Barreと言えば青でしょう?といった固定観念を覆してくれた小さな宝石。

 

レモン色と青、無色に近い水色のトリカラーの鮮やかさは素晴らしく、イリノイのBethel Levelに似ているなぁという感想。透明度も抜群で、蛍石には宝石質という言葉は使っても、宝石とまでは言わないようにしていましたが、これもう宝石でいいじゃん、ってぐらいビビビときます。

写真なんか目じゃねぇレベルで最高だぜヒャッハー

 

もうひとつ上の標本は1978年に採集されたものですが、これは2015年にコレクターが掘ってきたもの。ほかにも2016年に掘られた青い結晶群も入手することができたわけで、ここ最近La Barreは個人的には結構あつい産地。さっぱり黄色い蛍石が出ることは知りませんたが、よく見たら黄色い結晶についても文献でも言及はされていました。

ただし基本的にはレア物であることには変わりなく、採掘は厳しく禁止され監視されている。

(2016/10/30, 2017/3/12編)


Le Beix Mine

Le Beix Mine, Saint-Germain-près-Herment, Herment, Puy-de-Dôme, Auvergne, France

33mm×27mm×24mm

Ex. E.Millot collection

 

エレクトリックブルーで有名なLe Beix。

残念ながらこれはエレクトリックブルーとはほど遠いですが、それでも黄色・少し紫・青のゾーンが綺麗な蛍石。水晶とともに蛍石がでる産地でもあり、これにも水晶が少し付着しています。ある意味でフランスらしい、蛍石でしょうか。

 

Le Beixの蛍石というと青が最も有名ですが、基本的にはとても高価なお品物。無色や黄色の蛍石もでましたが1977年に国立公園に指定されるとともに閉山しています。

(7/24/2016)



Vensat

Vensat, Aigueperse, Puy-de-Dôme, Auvergne, France

60mm×40mm×39mm  Largest = 12mm


フランスの中ではメジャーな蛍石産地・Vensatの黄色い蛍石。

イギリス・ヒルトン鉱山の上品を想像させるようなゴールデンイエローで透明な蛍石がいくつも母岩についています。

特に最大の結晶は色の濃淡によるゾーンも若干ですが確認でき、なんともいい色合い。

結晶の形はしっかりと六面体式になっており、カルサイトも共生して申し分のないサンプル。


Vensatはあのボ●ビックで有名なピュイ・ド・ドーム県にあり、黄色い蛍石の産地としてわりと良く見かけるところです。フランスで黄色い蛍石と言われるとこのVensatかValzerguesがまず思い浮かぶところ。

ただ、Vensatでは紫色の蛍石もとれるのだとか……、気になります。



Les Isserts

Les Isserts, Saint-Jacques-d'Ambur, Pontgibaud, Puy-de-Dôme, Auvergne, France

15mm×13mm×12mm

 

Puy-de-Dômeも青い蛍石が良く知られる地方ですが、その中で異彩を放つのがLes Issertsの蛍石です。

 

全体としては薄めの黄緑色の小さい蛍石なのですが、ファントムがとても特徴的な一品。

紫色のファントムが結晶を縁取りするかのように、Cubo-octahedron(六面体+八面体)の形で入っているのです。独特。

また一本だけついているタンジェリンクォーツもアクセントになっていて、審美的な絵画のような印象をうけます。

 

Puy-de-DômeといえばLe Beixの素晴らしい青い結晶や鮮やかな黄色で知られるVensatがまず思い浮かびます。

一方でこのLes Issertsは緑色の立方体の中に紫色のファントムが入った蛍石を産することが知られますが、基本的にはかなりレアなもの。元々はとある企業が鉛を採掘しようとしていた産地なのですが、2002年、2012年、2015年の三度こういった蛍石が発見されました。これは購入した時期からすると2012年のものでしょうか。ちなみにLes Issertsでは紫水晶も知られています。

(10/29/2016 編)


Clersanges Mine

Clersanges mine, Saint-Pal-de-Senouire, La Chaise-Dieu, Haute-Loire, Auvergne-Rhône-Alpes, France

Toenail sized

 

一部で知名度の高いClersanges鉱山の蛍石。

この鉱山で最も評価されるイリノイの一部蛍石にも似たトリカラーの結晶。

 

やはりこの結晶の端に三角形の形に現れる紫色のファントムがこの鉱山の蛍石に特徴的なのがうかがえます。

フランスに青い蛍石多しといえど、独特の美しさを持つ産地なのかもしれません。願わくばもう少し標本が流通してくれればいいのですが。

MindatでもVeryRareと書かれるあたり、相当出回らないのだろう。

 

追記:

もっと流通してくれればいいなぁとの思いもむなしく、Clersanges鉱山の蛍石は文字通り絶産となってしまいました。

というのも産地だった場所は2008年に造成されてしまい、現在は住宅地か何かになってしまったのです。今後はさらにさらに入手が難しくなってしまうのでしょう。

また1㎝を少し超えるぐらいのラフが多く、2㎝を超えるような大きな結晶はレアといえダメージのない結晶で綺麗ないトリカラーというのはAbsolutelyにレアといっていいということになりそうです。ナムサン

(10/30/2016 追記)



Le Burg Mine

Le Burg Fluorite 蛍石

Le Burg Mine, Alban, Le Fraysse area, Tarn, France

85mm×45mm×45mm Largest Crystal = 20mm

 

Le Burg鉱山のうす~いスカイブルーの蛍石&水晶。

よく見ると檸檬色のゾーンもあり透明度も良いのですが、メインの結晶に幾つか目に見えるダメージがなんとも惜しい。

濃い青には遠く及びませんが、写真よりは若干濃い青色をしています。

うすい水色系統の撮影は難しい。

 

Le Burg鉱山というと青色の蛍石でわりと有名な産地ですが、06年4月に操業停止しているらしい。現在では濃い青色の蛍石はあまり見かけないので一つくらい確保したいところ。

 


Mine de Trébas

Trébas Fluorite

Mine de Trébas, Trébas, Tarn, Midi-Pyrénées, France

35mm×24mm×23mm 

 

フランスの青蛍石&水晶。

浅葱色をベースに濃青色のファントムを伴い、よく見ると中心部は黄色。

実物はぱっと見もう少し緑色がかっている気がしますが、光を当ててみると二枚目の写真のように青色が今度は綺麗に青色という感じに。

ダメージはかなりありますが、同じくTarnのLe Burg鉱山等の良品やイリノイ州のバイカラー蛍石に引けを取らない美しさです。

 

Trébas鉱山自体は知らなかったためMindat等を調べてみたのですが、めぼしい記事も見当たらず、最終的にフランス語のサイトに行き当たりました。それによると、1951年から稼働している鉱山らしいがフランス語は読めない。

 

そして、知り合いの一人が大切な人へのプレゼントとしてフレンチブルーの蛍石を探していた為、それへと提供させていただいたので手元から離れてしまった。

それ以来この鉱山からの蛍石でこの質の物はおろか、並品ですら見つけられずじまいのまま経過しており何とも惜しい。と、同時に蛍石を収集していてこういう役立ち方は初めてであったので嬉しい次第でもある。




Peyrebrune

Peyrebrune, Montredon-Labessonnié, Réalmont, Tarn, Midi-Pyrénées, France

37mm×33mm×20mm   Largest = 7mm


恐らく国内ではほぼ流通していないだろう、Peyrebruneという産地の黄色い蛍石。というより私も初めて実物を見たのだが。

と書いている途中で参考文献を見ていたらTarn県の蛍石鉱山についての記述の中で一番最初に挙げられていた…Tarnというと上述のLe BurgやValezerguesもあるので、まぁ多少はね。


さて子の蛍石ですが、フランスのメジャーな黄色い蛍石の色合いや、イギリス・ヒルトン鉱山のものとはまたちょっと色味の違う、でも綺麗でテリッテリで、そして恐ろしく透明な黄色の蛍石が黒めの母岩を覆い尽くすかのように存在しています。

こういうサムネイル標本は結晶1つ1つのサイズは小さくてもインパクトがありますね。

そしてルーペで拡大してみると恐らく、Hexoctahedronが1mmサイズですが現れています。

ちなみに、裏面にも透明な蛍石がいくつもついていますが、さらに方解石もちょろちょろっと付いています。


このPeyrebruneの蛍石は割合色んな色合いの蛍石がでてくるようで、母岩はシデライトが一般的、方解石・方鉛鉱・閃亜鉛鉱などを伴うこともあるとのこの。

これは恐らくシデライトも伴っています。


Valzergues

Filon Jaune, Valzergues, Decazeville, Aveyron, Midi-Pyrénées, France

Miniature Size

Ex. Mazankiewicz Coll.

 

黄色い蛍石で著名なValzergues。

その多くは中でもFilon Jauneから産したものであり、これもそのひとつ。鮮やかな黄色が綺麗。

 

彩度、照り、透明度は申し分ないのだが、もう少しメインクリスタルに大きさが欲しいところか。時にこの産地では黄色いエッジに青のゾーンが入るものも存在し、その青の存在感がしっかりとしたものはそれはもう綺麗で綺麗で......この標本でもほんのり青みを確認できることはできます。が、つまるところもっと青い主張が激しいものが欲しい、それは欲しい。ないものねだりだ。

と書きはしますが、現状を考えれば及第点は超えている、充分に楽しめるValzerguesといえるでしょう。仏蛍石コレクターがコレクションをAuverngeに絞る際に手放したもの。

 

(2017/11/11)



Fontsante Mine

Figuier Vein, Fontsante Mine, Tanneron, Var, Provence-Alpes-Côte d'Azur, France

35mm×35mm×28mm      Largest = 15mm


南仏産の青緑な蛍石。

色はパッと見濃い青緑で、萌葱色というのが一番近いだろうか。

透明度もよく、よく見ると表面直下には青いゾーンがいくつも入っていて中心部分は若干黄色のさした色合いになっているがのわかります。

メインの結晶以外は所々欠けたりしてはいるのですが、好きな色合いのサムネイル。この緑が強い青緑色っていうのが昔から好き。


Fontsante鉱山は、ニースやカンヌを擁しイタリアやモナコと接するプロヴァンス=アルプ=コートダジュール地域圏の中で最も有名な蛍石産地のひとつです。この鉱山は1919年から87年まで稼働しており、様々な色合いの蛍石を産出しています。

特ににこのFiguier Veinは濃い青緑色の蛍石で有名で、実際この標本もその一例となっています。



Saint-Pierre Vein

フランス 蛍石 黄色

Saint-Pierre Vein Giromagny, Belfort Territory, Franche-Comté, France

47mm×35mm×20mm    Largest = 10mm

 

フランスのレモンイエローな蛍石。

正直目を見張るほど綺麗!という感じの物ではないのですが、昨年新産ということで買ってみました。

なんでも、少なくとも15世紀から操業していた鉱山だったものの1850年に閉山してからはアクセスできなくなっていたのが、去年露頭が発見されたんだとか。

こういう物に何とも弱いのです…。

詳しくは"Le regne mineral No. 107." に掲載されています(フランス語)