韓国の蛍石


Tae Hwa Mine

Tae Hwa Mine, Neungam-ri, Angseong-myeon, Chungju, Chungcheongbukdo, South Korea

Ex. Phil Martin Collection

Prev. Mary and Gardner Miller Calcite Collection #474

 

非常に珍しい韓国産の蛍石。

白雲母を母岩として毛鉱か何かと思われるインクルージョンを含んだ蛍石がのる、レア産地のわりに見た目もよろしい標本。白い方解石のプレートもアクセント。

オールドコレクションであり、前の前の持ち主は方解石コレクターとして著名な夫妻。ミネレコ誌v.18#6にはそのコレクション特集もあるほど。これも方解石がついているからコレクションにいれたのでしょう。

来歴がしっかりした標本はそれを紐解くだけで楽しいものです。

 

日清戦争ののち独立し大韓帝国となった1897年以降、大日本帝国の保護国となる1905年までの間に独自で鉱山開発をしようとした向きがあるらしく、その間の1902年から開発されたタングステン鉱山がこのTawHwa鉱山みたいです。といっても私は歴史に明るくないので詳細な流れはさっぱりですが。

ただこの鉱山の灰重石は鉱物標本としてはある程度しられたもので、蛍石に比較するとかなーり良く見かけるもの。蛍石となると前述のとおり非常にレアで、私の蛍石蒐集ライフのなかで売りに出されているのを見かけた回数は両手の指で事足りるほど。大体無色または濁った無色、ほんのわずかにアイスブル―といったところでしょうか。これも無色ですしね。

(2017/5/28)

Tae Hwa Mine, Neungam-ri, Angseong-myeon, Chungju, Chungcheongbukdo, South Korea

Miniature Sized

 

標本蒐集あるあるネタの一つに『血眼になって探し、ようやく入手できたと思うも束の間。幾つもAvailableなものが出回る。(しかも往々にしてより良い標本が)』というものがあります。私もよくやらかします。しかしポジティブに解釈するならば、『ニッチな標本を探すスキルが上がった』と考えることもできます。やっぱり物事には陰陽があるわけです、太極図みたいに。

 

というわけで運よく韓国の蛍石をまた入手できたのでした。2年ほど前にのせた標本では無色が多いと書きましたが、これは淡いアイスブルー。単独で見るとどちらも「無色じゃん…」となりますが、比べてみると微妙な差異がわかりやすいはず。方解石に白雲母、ほか細かな苦灰石や閃亜鉛鉱、裏面には方鉛鉱までついたリッチなサンプルでいて、見た目もまずまず悪くないという美味しい標本なのです。

ただ、韓国の蛍石標本がレアであるということに共感してもらえるのが中々難しい(笑)

(2019/5/31)