南アフリカの蛍石

 南アフリカの蛍石では、RiemvasmaakやNamaqualand、はたまた Vioolsdriftなどとラベルされたものを見ますが、それらオレンジ川の流域で蛍石を産出しているようです。

特に有名なのは綺麗な緑色の八面体ですが、それ以外にも紫のモコッとしたものや黄色い蛍石も存在しています。


Riemvasmaak

Riemvasmaak, Kakamas, ZF Mgcawu District, Northern Cape Province, South Africa

38mm×37mm×30mm

 

蛍石界においてメロンソーダ・オクタヘドロンとして確固たる地位を築いている南アフリカ・Riemvasmaakの蛍石。この手のものが世に初めて出たのは2006年、産出した当初はアメリカの企業によって高値がつけられていたりしたそうな。

ある程度の産出が続いためある意味市場にありふれた標本となった感がありましたが、昨今では新規産出量が漸減しているため、今のうちに入手しておこうという運びに。

 

特徴的なメロンソーダ色の八面体式結晶はある程度透明感を感じられ、結晶の芯だけ紫色。

パイライトのインクルが散らばっており、この産地のメロンソーダでも色鮮やかな部類に入るでしょうか、サイズ・形・色が好みで見た瞬間ノックアウトされました。

ちなみに、ライトアップするとさらに綺麗さが増しますし、ブラックライトで青白く光ります。

 

この産地の標本は白く不透明な水晶と共生、あるいは覆われて産出しますが、この標本には存在していません。結晶下部は剥離痕が見受けられるので、元はそこに水晶がついていたのでしょうか。

流通している標本では、白い水晶を剥がした跡があからさまなものもあったり。

(5/27/2016)


Riemvasmaak fluorite occurrences, Kakamas, ZF Mgcawu District, Northern Cape, South Africa

34mm×35mm×30mm

Mined c. 2004

 

南アフリカの有名産地、Riemvasmaakの蛍石。

色は薄い緑色で表面は若干フロストな感じですが、形がはっきりと6面体+八面体。

一部に白くなった水晶を伴っていて、全体としてサイズもあるのでずっしりとした多面体的なイメージをうけます。

 

この産地は鮮やかな緑色の八面体で特に有名です。

ですが、Cuboctahedron(六面体+八面体)の物もあり、それらでは六面体の面だけがエッチングを受けてザラザラになっているのが特徴的です。

実際この標本でもそうなっています。

何故そうなるのかは不思議なところ。

 


Riemvasmaak, Orange River, Northern Cape, South Africa

17mm×16mm×16mm

 

ダンデライオン。


見た瞬間この言葉が思い浮かびました。

白い水晶の上に、黄色い蛍石の花が咲いています。

細かな立方体の角が集まって球形をなしており、独特の透明感・ファントムが相まってとても可愛らしいミニチュア標本。

これ以上大きいサイズになると透明度が落ちやすいのか、これぐらいのサイズがちょうどいいのかもしれません。

 

メロンソーダやネオングリーンなどと呼称される緑色の八面体の産地として著名な南ア・Riemvasmaakですが、緑色以外にも紫色・黄色の蛍石の標本も出回っています。

これもその中の一つで、緑色の蛍石がとれる場所の近辺からでてきたものとのこと。



Orange River

Orange River, Northern Cape, South Africa

35mm×27mm×26mm


赤茶色のファントムを伴う水晶に囲まれた八面体式の蛍石。


紫色の蛍石は表面がざらついていて、いわゆるピラミッドみたいな形に近いのかもしれません。ちなみに、水晶のファントムはヘマタイトによるものでオレンジリバー水晶と呼称されるものの一種。

水晶の白地に、ファントムの赤茶色と蛍石の紫が良く調和しています。


オレンジ川はドラケンスバーグ山脈を水源とし、ナミビアと南アフリカの国境をなします。その名の由来は果物のオレンジではなく、オランダ王家のオランイェ=ナッサウ家に由来するのだとか。

この一帯でとれる鉱物はオレンジリバー水晶と呼称される水晶が有名ですが、紫色~黄色、緑色の蛍石も産出しています。




Namaqualand

Namaqualand, Northern Cape, South Africa

Small cabinet sized

 

これもそういえば持っていなかったという標本のひとつです。そうNamaqualandの蛍石。

「南アフリカの蛍石といえばメロンソーダ色」という強い印象の陰にどうしても隠れてしまいがちな、かといってミネラルショーでも全く見かけないというほどでもない、どことなく不遇な立ち位置にカテゴライズされてしまっている蛍石かもしれません。

カルセドニーの上に成長したすこし丸みを帯びることもある紫色の蛍石がよく知られており、時に純粋な菱形十二面体の結晶もでるなど、見た目で容易に産地の推測がつくほどには特徴的な蛍石なんですけれどもね。

この標本も2.5cm大のメインの結晶のほか、いくつかの結晶は面白い特徴を持っていることがわかります。

 

しかし産地の情報としてしっかりしたものが、あまり見あたりません。いわゆる"obscure"な産地というイメージを私は持っています。

古くから知られた産地ではどうもないようで、2008年以前は流通はなかったようですが、私自身の曖昧な記憶を振り返ってみると2013年頃にはすでに見かけたよう思います。この間に新しく出回り始めたということなのでしょう。当時の私はコレクターとして歴が浅瀬もちゃぷちゃぷレベルで、「まずはメロンソーダ色の蛍石」で頭が一杯だったわけです。「紫のは後回しでいいかー」の後回しが、まさか7年越しになるなんてね。

(2020/7/24)